衆院選神奈川 自民11、立民7議席 当選者たちが語ったことは:東京新聞 TOKYO Web

衆院選神奈川 自民11、立民7議席 当選者たちが語ったことは:東京新聞 TOKYO Web

当選を決め、支援者とグータッチする坂井さん(中)=横浜市戸塚区で

 十月三十一日投開票の衆院選は、一日朝までに比例南関東ブロックの復活当選も含め、全ての当選者が決まった。小選挙区では、自民十一人、立憲民主七人と議席を分け合った。比例復活は自民六人、立民三人、維新二人、国民民主一人。共産は前回比例復活だった10区の前職が落選し、県内唯一の議席を失った。確定後の投票率は56・29%で、前回(51・97%)より4・32ポイント上がった。(衆院選取材班)

◆「守る」5区 自民・坂井さん/8区 比例復活・自民・三谷さん

比例復活を決め、両手を突き上げて喜ぶ三谷さん=横浜市青葉区で

比例復活を決め、両手を突き上げて喜ぶ三谷さん=横浜市青葉区で

 菅義偉前首相の腹心の自民前職二人も議席を守った。

 「感触は悪くなかった。結果的にだいぶ競った。次回は絶対に小選挙区を勝ち抜く」。一日午前零時半ごろに比例復活が決まった8区の三谷英弘さん(45)は支援者を前にこう誓った。小選挙区では立民前職の江田憲司さん(65)に敗れたが、四年前の前回四万五千票あった差は今回は一万二千票。地道に地盤を固めてきた一定の成果が表れた。

 三谷さんは自民候補が直前で離党した前回、官房長官だった菅氏の意向もあって東京都内の選挙区から、8区に移ってきた。菅氏は選挙期間中、中盤の週末や最終日に応援に入った。

 菅政権で官房副長官を務めた5区の坂井学さん(56)も選挙中、菅氏の応援を何度も受けた。野党共闘候補となった立民前職山崎誠さん(58)との一騎打ちは接戦となり、小選挙区の当選確実が出たのは日付が変わる直前。支援者が大きく万歳をする中、「お待たせいたしまして誠に申し訳ない」と、深々と頭を下げた。「菅内閣で道半ばのものも多数ある。しっかりこれらの政策を進める」と決意を述べた。

◆「誓う」6区 自民・古川さん

初当選を果たして花束を受け取る古川さん(中)=横浜市旭区で

初当選を果たして花束を受け取る古川さん(中)=横浜市旭区で

 6区で激戦を制して初当選した自民新人古川直季さん(53)は一日午前零時半すぎ、横浜市旭区の事務所で支援者らから大きな拍手で迎えられた。「二十六年の市会議員の経験を生かし、地元の声を政権与党ど真ん中に届けたい」と力強く活躍を誓った。

 6区は、長らく自公連携の象徴として公明が候補者を擁立してきた選挙区。コロナ禍の銀座クラブ問題で公明が擁立を断念し、二十五年ぶりに自民候補として、同区での実績がある古川さんに白羽の矢が立った。

 ただ、保土ケ谷区での知名度アップが課題だった。菅義偉前首相が複数回応援に入るなどし、相手候補との差を縮めていった。

 街頭では市議時代の実績をアピールしたほか、自公政権の継続も強調し、公明党の支持も得た。当選後には山中竹春市長が事務所を訪れ、祝福した。

 立民前職の青柳陽一郎さん(52)は比例復活した。

◆「笑顔」4区 立民・早稲田さん

当選を決め、支援者の祝福を受ける早稲田さん(中)=鎌倉市で

当選を決め、支援者の祝福を受ける早稲田さん(中)=鎌倉市で

 県内選挙区最多の5人が立候補した4区は立民前職早稲田夕季さん(62)が再選を果たした。日付が1日に変わる直前、鎌倉市内の事務所に集まった支援者を前に「大きな力添えをいただいた。大変厳しい選挙だった。ありがとうございました」と笑顔を見せた。

 無所属元職浅尾慶一郎さん(57)と激しく競り合い、選挙戦最終日には枝野幸男党代表も応援に入って議席を守った。街頭で女性から声をかけられることが多かったと明かし、「コロナ禍で困窮している方、そうでなくても苦しい思いをしている方が増えている。代弁者になりたい」と話した。

 一方、落選した浅尾さんは、同市内の事務所で「本当にいいところまできたが申し訳ない」と深々と頭を下げた。

 ただ、逗子市と葉山町の得票は早稲田さんを上回るなど地道な活動の成果も見られ、「無所属でハンディがある中でここまで来られたのは皆さんのおかげ」と支援者に感謝を述べた。報道陣の取材には応じず、「今後のことはこれから決める」と話して事務所を後にした。陣営幹部は「浮動票の取り込みが足りなかった。ネットワークもできたので、『もう一度』はあると思う」と期待を込めた。

 浅尾さんと保守系分裂の争いを展開した自民前職の山本朋広さん(46)は比例で復活した。

◆「念願」1区 立民・篠原さん

当選を決め、支援者と握手をする篠原さん=横浜市磯子区で

当選を決め、支援者と握手をする篠原さん=横浜市磯子区で

 1区は新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言中の一月に東京・銀座のクラブを訪れたとして自民を離党した無所属前職松本純さん(71)らを、立民前職篠原豪さん(46)が破った。三十一日午後八時すぎ、当選確実の知らせを受けた篠原さんは横浜市磯子区で「手弁当で支えてくださったボランティア、仲間の皆さんで勝ち取った」と、念願の小選挙区勝利を喜んだ。

 1区は松本さんが強固な地盤を持ち、篠原さんは過去二回、比例復活で当選した。今回は相手に逆風が吹く中、維新新人に票が割れたことも有利に働いた。

 選挙戦では「この三十年間、働く人の所得は上がっていない。命の瀬戸際に立たされている人がたくさんいる」と自公政権を批判。「皆さんの側に立った経済政策」を主張し、支持を広げた。篠原さんは「国政の場に戻り、全力で仕事をさせていただく」と誓った。

◆「感謝」12区 立民・阿部さん

当選が決まり、支援者と喜ぶ阿部知子さん=藤沢市で

当選が決まり、支援者と喜ぶ阿部知子さん=藤沢市で

 12区は立民前職阿部知子さん(73)が競り勝ち、八選を果たした。三十一日夜、藤沢市の事務所に当選確実の一報が入ると、「昼夜を問わない熱心な声援に感謝する」と述べ、支援者らの拍手を浴びた。

 現役の小児科医。政府の新型コロナウイルス対策を「後手で場当たり。救える命を救っていない。それが私の怒りの原点」と批判し、「命を守る政治に変えよう」と訴え続けた。

 四年前の前回、小選挙区で初勝利。「今回は党県連会長としても負けられないと思った」。三月から新型コロナの理解を深める小集会を各地で重ね、街頭でも気軽に疑問に答えた。地元中小零細事業者に往復はがきを送り、相談があれば足を運んで耳を傾けた。

 「人が幸せである、豊かであるというのはどういうことか。政治の質を変え、幸せになるための予算を実現したい」と力を込めた。

 自民前職星野剛士さん(58)は比例復活した。